ショッカーのミニターに映し出される中継アンテナになるという蓬莱峡の針のような岩
劇中、実名で登場する有馬温泉近くにある蓬莱峡はその独特の景観から黒澤明の「隠し砦の三悪人」のロケに使われたこともあるそうだ。
奇岩連なるこの岩場でもよく目立ったこの岩は「関西の岩場」(白山書房/1985年)と言うフリークライミングのガイドブックでは「ニードル」と呼ばれていたそうだ。"そうだ"と書いたのは対比の画像を見ていただくと分かるが先端がかなり崩れて消失している。この岩に限らずこの岩場全体が崩落している印象。対比の画像は木が生い茂って劇中と同じアングルで撮影出来ず見通せる場所から撮ったのでかなり稜線が違って見えるのはご容赦願いたい。
荒涼とした岩場に連れてこられた岩本博士
岩本博士が立っていたのは山の中のガレ場のようにも見えるが蓬莱峡の中を流れる太多田川の河川敷。同じ位置からはまるで見通せないので右端に見える堰堤の先の広場で撮影した。
下流側のカットは実際の場所(若干藪を避けているが)。すぐ先は少し高低差のある堰堤になっている。
藤兵衛たちが囚われているカットからこのシークエンスのもう一つのロケ地、蓬莱峡から2kmほど離れた白水峡へ移るが岩本博士奪還の絡みはそのままこの河川敷。決戦でライダーとアブゴメスの絡みは実に1カットだけ巧みに両方の場所が使われている。似たような砂防堰堤が存在し、観ていても場所が切り替わったのに気づかないほどだ。
ライダーが蓬莱峡にいるのはこのカットのみ。現在は改修されたのか堰堤の様子が異なるが冒頭の引きのカットに同じ堰堤が映っているのが確認出来る。
後記:10年ほど前、この場所を探しに一人で蓬莱峡へ入山したことがあった。その時は完全にルートを見誤りこの場所を見つけられないまま、遭難しそうになりながらも蓬莱峡の裏まで踏破してしまった。その頃は意識していなかったが、ロケ隊がこのような場所に入る時は女優や子役、年配の俳優がいたり撮影そのものの手間を考慮してか険しい山の奥まで入ることは稀で、基本的には車を着けてすぐの場所で撮影する傾向があるように思える。ここも御多分に洩れず駐車場からほんの数分の場所を効果的に使って山深い険しい山のように見せる事に成功している。とはいえ半世紀近い月日が経ちすっかり藪に埋もれていたので同じアングルを求めるのは難しい場所も少なからずあったが。