劇中ではそれ以上の以上の地名の解説は出てこないが映し出される雪山をいただく教会らしき建物は昨年の正月にこれに触れる投稿を上げた際にそれをご覧になった方からコメントでシルスではないかという情報をいただいた。具体的な場所を調べるとスイスサンモリッツ近くの小さな村シルスバゼリアという事までは判った。
ただ、奥多摩や丹沢といった普段行っている近場の山のロケ地と異なりはるかヨーロッパ、本物のスイスアルプスの村である。おいそれと行けるはずもなくいつか機会があればと夢想していた。
1年半ほど経った今年6月末、降って湧いたように急なイタリア出張が舞い込んだ。同行する家人を説得、ロケ地を回るために余分に2日の日程を取りミラノ経由でスイス行きを工面する事が出来た。
まずは出張先のフィレンツェでの予定を済ませ一路ユーロスターでミラノへ移動。ユーロスターとは日本で言うところの新幹線で2時間弱だが快適この上ない。車窓から眺めるのどかな農村風景は脳内に溝口肇の「世界の車窓から」を強制的にリピート再生してくる。
ミラノでは翌朝1番の電車に乗る必要があることと再びフィレンツェ空港まで戻る必要があるので駅至近の安宿を手配する。写真で見るとピンクの壁面で可愛らしくも見えるが値段なりの設備だった。ただミラノ市街の観光や駅をハブにそれ以外の都市の観光、宿泊以外にお金をかけたい人にはちょうどいいだろう。ホテルマンも愛想がいい。
ミラノ駅のホーム。レトロな鉄骨造の駅舎にモダンな列車が並ぶ。常に脳内に「世界の車窓から」が流れ石丸謙二郎のナレーションが聞こえてくる。
まずはミラノ中央駅からサンモリッツへ向かう中継地点であるティラノ行きの電車に乗るがシルスへは電車が通っておらずバスに乗り換えるため途中のキアベンナという小さな駅でさらに別のローカルな単線の電車に乗り換える必要がある。
座席はこんな感じでいたって普通。山岳地帯へ向かう下り線の始発だからかガラガラ。
キアベンナ駅前。キアベンナのホーム。ここから次の中継地点コリコまでは左に映るグリーンの列車に乗る。これがさっきの路線に比べボロい車両で、車内はモーター音で普通のトーンでは会話が困難なほど。ちなみにこの日は駅の唯一のトイレが男女共故障中で泣きそうになった。
線路を進むにつれ直ぐに山のスケールが巨大になっていく。最初は群馬あたりでもこんな光景ありそうだなんて呑気に眺めていたが流石端っことはいえ本物のアルプスである。山のスケールが違う。
山間の川に沿ってくため途中に大きな湖などが点在している。
やがて終点コリコに到着。ちなみにここはまだイタリア。
コリコ駅前。イタリア人は8月に入ると直ぐに長期の夏休みを取るそうでサンモリッツへ向かう交通の要所でもあるため山に囲まれたこじんまりとした駅前は観光客が行き交う。とても綺麗な街だった。
これがシルスまで乗るバス。ベンツ。終点はスイスのサンモリッツまで向かうバスで、途中に小さなホテルの並ぶ村がいくつも点在、トレッキング用の杖を持った老夫婦、家族連れ、地元の人多くの人が乗り合わせた。
途中、急な傾斜や車一台やっと通れるような幅が狭い区間も少なくないが女性ドライバーはひるむことなくスイスイ登る。窓の外は映画やドキュメンタリーでしか見たことないような風情のある古い小さな村をいくつも抜けていく。
気づいたら国境を超えていた。中央のゲートがスイス側国境。その先にイタリア側が小さく見える。EU圏同士の国なので本当に県境を通過するような程度。同行した家人は寝ていて国をまたいだことすら気づかないままだった。滞在中あまり意識しなかったがスイスでもこの辺りはドイツ語なんだそうだ。どのみちこちらは片言の英語である。
1時間半ほどでシルス湖のほとりの小さな村に到着。村のほとんどが古いホテルで構成された観光の村である。多くの旅行者が訪れていた。
ちなみに下されたバス停がすでに目的地の目の前。夢に見た古い教会とホテルが向かい合って建っている。
劇中で特に解説があるわけではないが絵的に言うとこの教会の鐘が鳴り、その向かいのホテルにエミとミカがいた、と解釈したい。
劇中映像に映っていたホテルチェサグリシャ。ここに助手のエミたちがいたなら(演じてた人が)コーヒー好きの本郷がコーヒーを飲まなかったわけがないと信じて併設されているカフェでコーヒーを飲んだ。
ちなみに劇中に登場するホテルのロビーのようなところでは皆スキーを抱えているがいわゆるスキー場のような場所は見当たらず。この村で出来るとしたらクロスカントリーぐらいか。
実際のロビー。
劇中との対比。雪が無いのが残念だが山の稜線、教会の塔、見事に一致する。実に感動した一瞬である。
もし万が一、この記事を見て「直に見てみたい!」なんて思った人はぜひ行ってみてほしい。旅の道中見る物全てが素晴らしくそのスケールに感動出来る。ミラノ経由で行くのであれば最短2泊4日くらいで見に行けると思う。
興味を持った方、ぜひトライしてみてください。
普段、ロケ地までの道程をここに記す事はほぼ無いですが自分への備忘録も兼ねてまとめてみました。
すごぉ 感動しました。
返信削除