2023年2月19日日曜日

豊海水産埠頭 考察 その2

藤兵衛の殺害予告に外を警戒する本郷の前を挑発するように現れた黒装束の男
黒装束の男が歩いていた建築中の建物は映像の流れ、撮影の都合を考えれば豊海水産埠頭だと推察出来る。先に紹介した垣根のシーン同様、建物が映るものの建築足場が架かり全体像どころか細かいディテールが分からない。ヒントとしては劇中2度ほど映り込む黄色のクレーン。一つは決戦シークエンスの屋上でのシーン。これは屋上が使用された東冷蔵第1工場(当時)の南側のでタワークレーンが2基映り込む。これは当時建築中だったと思われる東京市場冷蔵第2工場(当時)だが、決戦シーンのカメラ位置は2階建ての事務所棟の屋上で高さにすると3階相当。件の建築中の物件は足場に覆われてるものの見上げるカットからすると少なくとも3階程度はありそうに見えるのでここではなさそうだ。
もう一つは冒頭の垣根のシーン。垣根越しに黄色のクレーンと思しき影が見える。
こちらは本体部分に対し傾斜のついたトラス部分がある事から移動式のクローラークレーンではないかと思われる。先の垣根のロケ地の推察があっているとするならこの垣根の位置からクレーンは駐車場の北側か西側にあったと思われる。正面道路に対して斜めに建っていて奥の2つの開口はトラックを直付けして荷物を降ろす為に1mほどの段差が設けられている。この条件で見ていくと駐車場に隣接する中央冷凍(当時)が該当するが開口部はあるがその手前の窓の上に見えるアールのついたコの字型の庇(ひさし)も無く一致しない。
次に本郷が立っていた青いタイルから続く東京商事(当時)の冷蔵庫棟で考えてみる。通りに面した立地は一致するが開口等が一致しないのだが航空写真を年代を追って見ていくと通り側は完成後に増築がされており一概には否定出来ない。現在はシャッターが設けられているがその奥を見ると映像のように一段高くなって開口がある。また、元の壁面に入った目地も映像に近い間隔で入っている。ただ、決め手となるコの字の庇の有無(あるいは現存)は中の仕切りで確認出来なかった。一つ気になるのは映像に映った青いタイルの事務所棟のエントランスにはコの字の庇があり、冷蔵庫棟増床の際に同じ意匠を引用したと都合よく希望的観測をしたい。
上記を踏まえ現地で検証撮影、と言っても角度以外は一致する部分は無いが…
中央冷凍(当時)の方ではなかった事の補足でistockで入手した72年に撮影された豊海水産埠頭の写真を掲載しよう。これには埠頭沿いの建築中の建物が写っている。立地と窓の形状から中央冷凍(当時)だと思われるが87話に映る建築足場とは組み方が違うようだ。写真の撮影時期としてはライダーとほぼ同じなのでここにロケ地自体が写ってくれていたら何よりの確証になったのだが。
出典:仮面ライダー 第87話「ゲルショッカー死の配達人!」毎日放送/東映/石森プロ 1972年11月25日放送

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